僕は高2のとき、大阪府豊中市から同じ大阪府の能勢町のとなり兵庫県川西市に引越し致しました。

当時の大阪第一学区の高校に通っていて、引っ越し後も続けて越境通学しておりました。川西市の高校の編入試験を受けて落ちるのが嫌だったからです。

すると、高校のクラスメートから、

「県民」
「家が大阪のチベットにある。」

と笑われていました。

「なにを~、日本国中は県民の方が多いんやぞ!」

と言い返していましたが。

その川西の家の最寄駅は能勢電鉄畦野駅でした。
僕の姉の知人の知人がバンドをやっていて。「能勢電車の歌」という曲を作っていました。そのカセットを持っていた僕は、友人に聞かせていたりしました。

すると、この修学旅行の帰りのバス車中、

その友人のひとりが、

「きぼりん、能勢電車の歌歌えや。」

と言い出し、クラスメートたちが、

「何きぼりん、能勢電車の歌って?」
「歌って!」

と言い出し、

「きぼりん!きぼりん!」

と、クラス全員のきぼりんコールがバス内で響き渡りました。

しょうがなく、僕は人生で初めてマイクを握って歌い始めました。

能勢電車の歌 by 中学生ズ

田舎電車のその訳は 阪急電車の払い下げ
数十年の歴史あり 使い古したその車両
夏は旧式扇風機 冬は寒さを耐えるのみ
春と秋には遠足の ガキがジャリジャリ詰まってる
でも、どうにかこうにか 動いている
あぁペンキが剥げている あぁ雨が振り込んでくる
今日も走る 能勢電車
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一番を歌い終わると、

「アンコール!アンコール!」

の大合唱。で、それに応えて二番目も披露。

「ちょっと待ってくれやおぇ。」と言う声よそに
扉閉めるは青二才
ニカッと笑った表情に どこか田舎の香りあり
舌のまわらぬアナウンス たまに間違うアナウンス
たまに忘れるアナウンス たよりになるのは何も無い
でも、どうにかこうにか 動いている
あぁ扉が閉まらない あぁ扉が開いたまま
今日も走る 能勢電車
明日も走る 能勢電車

うわ~っ、とバス内に歓声が上がりました。
これで僕の高2は有終の美を終えました。

でも、話はこれで終わりませんでした。

高3が始まりました。僕は、高2のときは徹底的な三枚目で終わってしまったので、高3の一年はイメチェンしてクールになろうと決めていました。が、、、、

修学旅行にも同行した高2のときの担任M先生が授業をしにやってきて、その授業の前にこんなことを言い始めました。

「きぼりん君、あの歌このクラスで歌った?」

な、何を言い出すんですかセンセイ、と思うと、、、クラスメートたちが、

「何きぼりん、あの歌って。」
「歌えやきぼりん!」

またもや

「きぼりん!きぼりん!」

と、クラス全員のきぼりんコールが教室内で響き渡りました。僕の憧れの君で高2のときも同じクラスメートだった女の子U野さんは、顔を手で覆っていました。

やむなく教壇にのぼり、僕は「能勢電車の歌」をアカペラで歌い始め歌い終わりました。

うわ~っ、と教室内に歓声が上がりました。その授業のあと、隣のクラスの連中が言いました。

「さっきの時間、隣で一体何が起こっていたん?」

こうして僕の高3二枚目化計画は、しょっぱなから崩れ去りました。

、、、あれから34年、今度その憧れの君U野さんと会う機会があります。果たして彼女はこの出来事を覚えているでしょうか?